日本イギリス法研究所 Institute for English and Japanese Laws

公演・著書・論文

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3.公演・著書・論文

3-1.著書・内容紹介

  1. イギリスの司法制度』(単著)、東信堂、2009年3月10日発刊

(概要)

イングランド・ウェールズ法域(イギリス)

    の裁判所制度、裁判官制度、法曹制度(二重法曹一元制)を分析解説し、制度の機能を、警察過誤に対する不法行為訴訟、つまり刑事訴訟と民事訴訟の両側面を一度に見ることのできる実際の事件を通して分析し、適宜、日本の裁判員制度において有益な部分、気を付けるべき部分を抽出した。

 

  1. イギリス債権法』(単著)、東信堂、2010年9月1日発刊

(概要)2008年、

オックスフォード欧州法比較法研究所客員フェローとしての研究業績をまとめ、18-20世紀にイギリスを含めてヨーロッパ私法の国民主義的分裂が急速に進む以前の普通法ユス・コムーネを振り返ることで、ヨーロッパ私法の接近の中でのイギリス債権法の過去と現在と将来を展望した。
イギリス流の法の分類、考え方、歴史的経緯の違いにも紙面を割いた。

 

 

  1. Minkes J. and Minkes L.編 Corporate and White-Collar Crimeの第七章Crime and Culture: Corporate Crime and Criminal Justice in a Different Cultural Environment(共著)Sage Publications, London, 2008年pp. 141-160.

(概要)イギリス向けに日本における法人の刑事責任についてイギリスとの比較対照を行い、組織体責任を追及する諸理論の意義を示唆する関連事象として、森永ヒ素ミルク事件水俣病事件大阪市ガス爆発事件三菱自動車事件JR尼崎列車脱線事故の事例分析

    を行った。
    読者からはイギリス企業の経営上は考えられない日本的な企業経営のスタイルが原因の事故に思われるという見解が寄せられた。国家もまた組織体である。

 

  1. イギリス憲法Ⅰ 憲政』(単著)、東信堂、2013年5月30日

(概要)イギリス憲法を構成する諸法源を流れる自由と民主主義の精神に立脚し、多様な経験に鍛えられたイギリス憲政の歴史と実際を検証し、適宜、日本との比較や批判を交えた。司法権と市民的自由については、第II部として執筆中。

 

 

 

  1. 根証文から根抵当へ~根抵当の起源を江戸時代に探る比較法制史的一考察』(単著)東信堂2013年10月

(概要)「西洋化以前の日本法で現在に残っている制度にはどんなものがあるか?」イギリスで出会った法学者数名から異口同音に尋ねられたこの素朴な疑問に答えるために執筆された。根抵当の「根」の起源を江戸時代の債権回収訴訟の証拠とされた商家の継続的取引の記録「根目録」、あるいは担保証文の一種としての根証文に探った本書は、当時の日本経済の中心大坂が同時に大坂以外に拠点を持つ当事者の訴訟を裁き、法実務においても抜群の先進都市であったと思われることについて、比較事例として現在のロンドンが国際ビジネスの中心であると同時に、国際商事仲裁センターとして諸外国の当事者の仲裁や裁判をも扱っていることに言及した。

 

  1. 国連の平和外交(翻訳)、東信堂、2005年8月15日、原書Marrack I. Goulding, Peacemonger, John Murray, London, 2002

3-2.今後の執筆予定

イギリス財産権法Ⅱ


イギリス憲法Ⅱ人権


イギリス司法制度第2版


3-3.主な講演テーマ

更新予定


3-4.講演実績

  1. 2010年7月14日、日本弁護士連合会刑事法制委員会で「イギリスにおける刑事司法改革について」講演

(概要)とくに誤判原因調査から刑事司法改革を導き出す手法について

  • 2011年7月9日、イギリス法・最高裁研究会で「連合王国憲法の番人・貴族院と最高裁の違い」について講演

 

  • 2012年7月15日、龍谷大学法科大学院で「連合王国最高裁判所と人権の擁護について」講演
  • 2012年10月16日、
    国際通商法研究会で「West Tankers事件をめぐる欧州裁判所判決イングランド裁判所の対応について」講演

 

  • 2012年11月15日、
    日本弁護士連合会刑事法制員会で「イギリスにおける証拠開示制度について」講演

(概要)とくに開示制限、拒否制度について

 

  • 2013年3月23日、関西医事法研究会で「イギリス終末期医療と裁判例」について報告

 

  • 早稲田大学比較法研究所(2007年7日・8日)と神戸大学大学院法学研究科(2007年12月12日)においてオックスフォード大学欧州法比較法研究所所長フォーゲナウアー教授による来日公演「
    ヨーロッパにおける契約法制の 新しい動向」の通訳。

 

  • ・その他
    軍事史学会

3-5.学会報告

  1. 2011年6月4日、比較法学会英米法部会個別報告「Hadley v Baxendaleの起源と現代イギリスにおける展開」、於法政大学

 

  1. 2012年6月2日、比較法学会ミニ・シンポジウム「イギリス新最高裁判所」(中村民雄、幡新大実、佐野隆、浅香吉幹)のうち「連合王国最高裁判所の設立経緯、任命、運用
    」(幡新大実)、於京都大学

3-6.論文リスト

  • (未刊行博士論文)
    Responses of the United Nations to the Cambodian Conflict, 1975-1993(カンボジア紛争と国連の対応)ランカスター大学1999年

(概要)日本の戦後占領下における制憲議会選挙と新憲法制定過程との比較研究を窮極の目的として、カンボジアが国家として崩壊し、1991年のパリ和平協定に基づき国連による武装解除と暫定統治下における制憲議会選挙をもって新憲法制定と新政府樹立に至った過程を批判的に分析評価した。

 

  • (1)「英国における公権力行使の私法的制御について」(単著)、2005年、比較法研究67号218-242頁(査読論文)

(概要)懲罰的損害賠償は陪審が算定するものであることを指摘し、実務的には警察の犯しやすい不法行為事件の中でも特に悪質な事例においてを算定されることを踏まえて、その利用状態を最新の実証データで示した。市民がこのような形で公権力の濫用を罰することについて、古くから市民や法律家が市民的自由の砦として積極的に評価する傾向のあることも18世紀以来の判例や近年の法律委員会報告書などの実証データで示した。日本にはない制度と発想で理解しにくいかもしれないが、日本の権力機関の組織防衛本能に鑑みると、意義のある制度であると思われる。

 

  • (2)「Hadley v Baxendaleの起源と現代イギリスでの展開」(単著)、2012年、比較法研究74号307-322頁(査読論文)

(概要)近年日本の債権法改正で議題に上っている民法416条の起源の1つである1854年のHadley判決について、先行研究、平井宜雄『損害賠償法の理論』東京大学出版会1971年で扱われている範囲のイギリス法の展開を超えた、その後の展開を追った。とくに平井論文の段階で打ち出されていた1967年のHeron II貴族院判決による契約と不法行為の峻別に拘らず、契約で訴えようと不法行為で訴えようと結果が同じであるべき事件のあることが広く認められるようになっているが、貴族院の1996年の不法行為事件と2008年の契約事件における判決は、ドイツの比較法学者ラーベルの規範の保護目的から義務の射程を画定する法理を採用して、イギリス損害賠償法の統一的説明を試みており、ヨーロッパ私法の接近にとっても有意義な布石となる画期的な判決となるだろう。

 

  • (3)「連合王国最高裁判所」(単著)、2010年、法学教室352号2-3頁
  • (4)比較法学会ミニ・シンポジウム『イギリスの新最高裁判所』(共著)、2012年、比較法研究74号のうち「連合王国最高裁判所の設立経緯、任用、運営」171-179頁

(概要)ヨーロッパ人権条約の視点から三権分立を貫徹させるための「憲法改革」の一環としての貴族院の裁判権と枢密院の国内裁判権の一部を合わせて独立した連合王国最高裁判所の発足を受けて、設立経緯と裁判官任用と運営の批判的分析、とくに新最高裁設立で失われたもの、裁判官任用実態と制度改正の民主的説明責任問題、大法廷の急増が立法府に対する司法積極主義を意味するかどうか、連合王国憲法の番人として今後期待される役割について分析した。

 

  • (5)‘The Dark Cloud Clearing? Recent Developments in Japanese Criminal Procedure’ (共著)2006年、Justice of the Peace, vol.170, pp.992-996.

(概要)バリスターである共著者Andrew Watsonの前作、Dark Cloud Over Japanese Criminal Justice (1995) 159 JPN 516-9; 534-7を引き継ぎ、裁判員制度の導入後の課題について、過去の誤判事例から経験的に導き出される課題として、とくに未決勾留期間と取調と証拠開示の問題点を明らかにした。

 

  • (6)「イングランド・ウェールズにおける弁護人の記者発表と倫理問題」(季刊刑事弁護47号144-148頁)(概要)依頼人のための記者発表についての事務弁護士(ソリシター)法律協会と法廷弁護士(バリスター)評議会の倫理綱領の紹介と、ソリシターの記者発表の実例

 

  • (7)「イングランド・ウェールズにおける総合法律支援制度の構造改革」季刊刑事弁護2006年48号129-135頁
    (概要)法律扶助制度の改革について批判的評釈

  • (8)「イングランド・ウェールズにおける証拠不開示と冤罪(1)~(6)」季刊刑事弁護2007年50号167-172頁、51号176-183頁、52号130-136頁、2008年53号170-177頁、54号159-164頁、2009年60号182-188頁

(概要)イングランド・ウェールズ(イギリス)において冤罪の強力な原因と言われる証拠不開示のメカニズムを実例に照らして解明し、日本の刑事司法改革の参考に供した。

  • (1)はイングランド・ウェールズにおいて冤罪発覚が刑事司法改革の原動力となり1997年からの再審請求の新独立審査機関の発足につながったことを説明し、その活動データを紹介した。
  • (2)は証拠開示制度の民事訴訟から刑事訴訟への歴史的発展を追った。
  • (3)は証拠不開示による有罪判決の再審無罪事件の近年の実例の事例研究で捜査機関と第三者機関の連絡の重要性、捜査・訴追当局の誠実義務と弁護側の反省点を分析した。
  • (4)は公益による開示免除の法理(守秘義務で守られるべき公益と公正な裁判をすべき公益の比較衡量)の歴史的発展を追った。
  • (5)は第三者開示問題を扱った。
  • (6)は証拠不開示によるDNA鑑定・再審無罪の10年遅延事例の研究~DNA鑑定用資料の保管義務と保管責任者の誠実義務の違反の背景的原因を探った。

  • (9)「イングランド・ウェールズにおける刑事司法と報道(1)~(3)」季刊刑事弁護2008年55号164-171頁、56号174-179頁、2009年59号174-183頁(概要)裁判所侮辱罪の歴史的発展と具体的適用に関する事例に基づく研究

 

  • (10)「テロ法による未決勾留の例外規定と運用について」季刊刑事弁護2009年57号164-171頁

 

  • (11)「イングランド・ウェールズにおける量刑手続の客観化」季刊刑事弁護2009年58号174-181頁

 

  • (12)「DNA鑑定と刑事司法」季刊刑事弁護2010年61号152-158頁

 

  • (13)「イングランド・ウェールズにおける初の無陪審裁判」季刊刑事弁護2010年62号152-158頁

 

  • (14)「無罪評決に対する上訴」季刊刑事弁護2010年63号190-195頁
  • (15)「弁護側証拠開示」季刊刑事弁護2011年65号201-205頁

 

  • (16)「司法取引による冤罪」季刊刑事弁護2011年66号154-160頁なお、(8)から(16)は「イギリス刑事司法の動き」として連載された。

 

  • (17)「イギリス終末期医療と裁判例」京都府立医科大学雑誌2013年122号299‐302頁


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